11月の一言

特定秘密保護法案について

特定秘密保護法案が衆議院を通過したが、多くの著名ジャーナリスト達がこの法案の内容に危機感を抱き、世論調査でも7割前後の国民が不安感を抱きこの法案に反対している。この法案自体に色々な問題があるという点と、国会で圧倒的な数を占める与党の審議の仕方、国会の在り方が問題である。
まず、そもそも今、このような主旨の法案を十分な協議を行わず拙速に通すことに何の意義があるのかという事についての説明が不十分である。勿論、政府として秘密を守らなければならない事も多々あろうかと思われるが、しかし現在ある法律の厳格な運用で十分に自国の安全を保てるか、まず議論すべきで、特に新たな法律を制定しなければならないのかという根本的な問題を考えるべきであろう。その上にマスコミ等の報道を見ると言論の自由が脅かされる、知る権利・取材の権利が侵害される等、国民の知る権利そのものが脅かされる事になるという批判が多々見られる。これほど多くの反対を抑圧して決めるに足る根源的な理由が見当たらないという事が一番大きな問題である。
加えてこれほど世論が騒ぐ重要法案であれば十分に国会で審議が行われるべきであるが、具体的な条項について問題点が多々指摘されているにも関わらず、その事について政府の明確な回答がないまま衆議院を強行採決し、数の力をもって参議院をも短期間で通過させようとしている事が大きな問題である。
かつては大法案であればあるほど政権党である昔の自民党ならば賛否両論が沸き起こったものであるが、世間一般に批判の声が満ち満ちながら政権党である自民党の中に批判の声がほとんど見られないほど、この大政党は首脳陣の下に統一されているといえば聞こえは良いかもしれないが、全く自由な言論のない、いわば批判精神が消え失せたかのような様相を呈している。
かつて、自由闊達だった自由民主党を小泉総理は小選挙区制の悪用によって郵政民営化法というアメリカ金融資本の押し付けに過ぎないような法案を郵便局が便利になるというデタラメな理論によって国会に提出し、強行採決し、衆議院を解散して反対する政治家を追放したという事が改めて思い起こされる。それ以来、反対する者は党を出て行けば良いという事が日本の憲政の土壌になったかのように、その後の民主党政権下においても野田総理は消費税法案に反対する者、TPPに反対する者を公認しないというような言論の自由を弾圧する姿勢を見せ、今日本では政権の中心に反対すれば党を出て行かざるを得ない、あるいは党から出される恐れがあるという状況の中で、多くの国会議員は全く意見を言うこともなく党首のご機嫌を窺っていれば良いという状態に陥っている。
今一度、国会で様々な議論が国民の多様な意見を反映して活発に行われ、多数決で決める、あるいは多数の意見を尊重する中に法案の修正が行われて当然だという民主主義を再生させる事が肝要ではなかろうか。

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