3月の一言

2012.3(日本のこれから歩むべき方向とは)

 政権交代から2年半の月日が流れた。新政権になって総理大臣も3人目になる中に、民主党が国民に訴えたマニフェストについて、それが実行されたか、されないかということが一つの争点となっている。確かにマニフェストも大事な争点であるが、マニフェストによる政策の訴えだけで政権交代が起きたとは思えない。実は政権交代は、現状の政治を打破すべしという国民の思いが大きな流れになり起きたことである。
 ご承知の通り、2005年の郵政解散に象徴される小泉・竹中政治が提唱した構造改革とは日本の国民を豊かにする改革ではなかった。アメリカの金融資本の為に市場原理主義あるいは金融資本主義という、まさに日本人の価値観と異なる経済・社会情勢がつくられ進められた結果、日本の隅々に至るまで地域は疲弊し、国力が疲弊していったのである。このことこそ国民の怒りを招いた真の要因だと捉えるべきではないか。
 政権交代に込められた国民の声を受け止めるならば、それは本来の日本人の持つ価値観にふさわしい格差なき経済成長、すなわち経済が全般的に押し上げられ、自分も豊かになるが仲間も豊かになるという、こういう世界に類を見ない全ての国民が豊かになるという日本特有の経済成長路線を取り戻して欲しいという切実な想いであった。
 では、なぜそうした日本型の経済成長路線が崩れたかと言えば、それはかつて大工業国家であったアメリカが工業品の競争力が衰える中に、代わりにそれを補う為に金融資本主義化を進め、まさに豊かになった工業大国日本から金融面で資金の回収を図るという戦略を立てたことが大きい。アメリカから毎年、年次改革要望書で日本に対する要請がなされ、この国の制度がどんどんとアメリカ流の金融資本主義に浸食されていった結果、まさにこの国の富が外国に流出するという構造が作られ、この構造改革こそが今日の低迷する日本を作り上げたのである。それを政治の力で、この路線をくい止め転換してほしいというのが国民の声であった。であるならば、政権交代とは 本来の日本を取り戻し、格差なき豊かな日本を作り上げるということに尽きるのであり、それは言ってみれば安全保障という点で日米の緊密な関係は変わることはないにしても、経済についてはアメリカの経済に隷属するような情けない日本の経済を作り上げてはならないということである。今日問題になっているTPPも冷静に見れば、これに加盟したからといって日本の輸出は大して増える訳でもなく、逆に輸入面では農業関税がゼロになるのだから、アメリカ等の農業大国から更に一層、農産品が輸入されることとなり、日本の農業が完全に立ち行かなくなる。それは、農産物が外国産になるという食料自給率の減少、すなわち食料安全保障の面で問題を引き起こすとともに、それによって日本の農村を中心とした地域経済が完全に崩壊し地域の疲弊を招き、大幅に国力の衰退が進むこととなる。また、あらゆる業界に共通することだがアメリカ型の訴訟社会化の進行に象徴される日本に合わない制度・システムがどんどんと持ち込まれ、日本人にとって大変住みにくい格差社会が出現していくという大きな問題が予想される。だからこそ、日本はアメリカ経済圏に全面的に取り込まれるようなTPPではない新しい道を歩む決意をしなければならない。
 それは日米安全保障というところでは緊密なものがあっても、経済については、 日本はむしろアメリカ型経済よりも日本型の経済、更にその延長線上にアジア型の経済を構築すべきである。アジア共同体構想とは長い日本の歴史、文化によって生み出された日本人の持つ他人を思いやる心優しい価値観を共有する東アジアを中心とした諸国との共同体構想であり、その中にこそ発展を続けるアジアと一体となった日本のこれからの展望を拓くことができるのである。

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