活動報告

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【レポート】2021年2月度勉強会 佐藤優さんを迎えて月例勉強会を開催しました

2月の月例勉強会に、多くの本を出版・雑誌等に連載をお持ちの外務省出身の佐藤優先生にお越しいただき、「激動する世界情勢」と題して、ロシアを中心にお話を伺いました。まず冒頭は、反プーチン派の先鋒である野党指導者のアレクセイ・ナワリヌイ氏についてでした。
ご承知の通り、先日同氏がベルリンでの療養を終えモスクワ空港に到着した直後、司法当局に身柄を拘束されたことにより、国内では支援者による解放を訴える反プーチンデモが活発化してきています。

現在ロシア国内ではいわゆる「プーチン宮殿」について国民からの批判が高まっています。ナワリヌイ氏のチームが撮影したこの宮殿の上空は飛行禁止の空域であり、撮影にはドローンが使用されました。作り上げるために大変な費用を掛けて制作された動画です。
Youtubeで公開後、ロシア国内は元より世界的にも話題となり、反プーチン運動拡大の大きな要因となりました。プーチン政権としては今回の反プーチンデモを確実に抑え込むため、大規模なデモが起きないよう努力しているようです。
佐藤先生の見解としては、今回のデモについては参加している主な層がまだ働いていない若者が中心というところに抑え込まれ、働いている人々が大々的に参加する事態には至っていないことからも現状では政権交代までは進まないであろうとのことでした。

どこの国でも政権側は体制を維持するために「現体制の安定を選ぶか、政権交代の混乱を選ぶか」というイメージを謳うことによって現体制を選ぶ世論を作り出そうとします。現在のロシア経済は天然ガスや石油の値段が下がり、かつての繁栄に影が差しているのは事実ではあります。
また、最近とあるロシアのマスコミによる「大統領に相応しい人物」という調査で、ナワリヌイ氏が38%、プーチン氏の続投を望む人が43%と、その差は5%と僅差となりました。しかし、プーチン政権がロシアを豊かにしてきたのは間違いありません。再び社会が混乱するよりも、問題があったとしても安定した現政権の方がいいだろうということです。

日本を取り巻く情勢については、今後の中国の膨張政策のなかで、米中間の摩擦が高まっていくことが予想され、日本としては中国を抑えるために米国との連携は重要であることは間違いないが、アメリカの言いなりという点からは脱していかなくてはならないとご指摘されました。

そのほかにも注視すべき点として、佐藤先生はドイツのメルケル首相退陣についても触れられました。
今後ドイツが力を伸ばして国際政治に大きく関与していくことが見て取れるということから、ドイツの台頭、トルコの問題、米中問題を中心にして、国際情勢を見極めていかなければならない時代に入ってきたといえるとのご見解を示されました。
今回も佐藤先生の緻密で鋭い視点から世界情勢について幅広くご解説をいただきました。大変有意義なご講演でした。

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